なぜこのイヤホンを買ったのか
まず今回買ったイヤホン
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近年、ノイズキャンセル機能付きの完全ワイヤレスイヤホンが大量に出回っており、正直どれを買っていいのかわからないくらいにはあふれかえっています。
私は普段ShureのSE215を愛用しているので普段は外音ノイズなんてあまり気になったことはありませんでしたが、使用しているスマートホンのイヤホンジャックの接触ノイズであったり、マスクを着けているときの有線ケーブルのわずらわしさだったりといろいろとストレスが無いわけでもありませんでした。
そこで、せっかくならノイズキャンセル機能付きの完全ワイヤレスイヤホンを買ってみようと思いいろいろ調べているととりあえず最新のものでよさげなWF-1000XM4というものがあったので購入することにしました。
ほかの候補としてATH-CKS50TWというaudi-technica製の完全ワイヤレスモデルがありましたが、レビューを見比べてみるとノイズキャンセル機能がWF-1000MX4のほうがいいということでこちらに決めました。
さて、購入した経緯としてはこのような感じなのですが、実際に使ってみた感想はどうだったのかを書いていきたいと思います。
音質
まずは音質に関してですが、まあ5000円-15000円くらいのイヤホンくらいの音質かな~という印象です。正直、音質という定義とかがあいまいなのであまり詳しく述べたくはありませんが、昔のワイヤレスイヤホンや安価なワイヤレスイヤホンにありがちなハムノイズのような本来明らかに楽曲には存在しえないノイズが聞こえる、といったことはほとんどありませんでした。
まぁ、民生品のイヤホンは音質よりもイコライジングの影響が大きいので正直ここに関しては変なノイズと違和感のあるイコライジングチューニングがなされていなければ安いイヤホンでも問題ない気がします。その点、このイヤホンは合格点だと思います。最悪、その辺が気に入らないのであれば専用アプリを使用して大雑把な調整はできるので気にする必要はないでしょう。
コーデック
Bluetoothで音楽を転送する際にはコーデックが大きく音質にかかわってきますが、このイヤホンは数少ないLDAC対応のイヤホンです。しかし、電車などで音楽を聴く場合にはSBC程度のコーデックで十分な気がします。
圧縮ノイズが聞こえないレベルであればLDACなんて不要ですし、そこまで音質にこだわるのであればBluetoothなんて最初から選択肢から外れるので、LDAC対応などの謳い文句に流される必要はありません。
ノイズキャンセル機能(ぶっちゃけ微妙)
さて、今回大きく売り出されているノイズキャンセル機能ですが、これに関しては正直微妙です。
というのも、私は普段はSHUREのSE215を使っていて、そちらと比較してしまうと明らかにそちらのほうが物理的に音が遮断されている分ノイズキャンセルの性能としては数段上です。
やはり、パッシブにノイズキャンセルをする(つまりほぼ耳栓状態)のほうが当たり前ですがが外音を遮断する性能は上ということでしょう。
外音を完全に遮断して音楽を楽しみたい、という目的の場合はこのイヤホンでは不十分です。
このノイズキャンセル機能に関してですが、注意しておかなければならない点があります。
それは、左右での低減具合に違和感がある点です。
設計の甘さ
本来人間の耳に入ってくる音は左右で差があり、左右の聴力に違いがあったとしても日常の慣れによって違和感なく音を聞き取っています。
ですが、アクティブにノイズをコントロールするこのイヤホンの場合、左右の外音圧レベルを同じ性能のフィルターを通して音を打ち消しているので本来左右差が出るはずの外音であっても同じレベルまでキャンセルしてしまうため違和感が生まれてしまいます。わかりやすい例でいうと、片耳にだけ大音量を流し続けた後に外に出ると片耳だけ聞こえずらい状態になるような状態です。
補聴器が人によって非常にシビアに調整をしなければいけないのと同じで、このノイズキャンセルフィルタは人によって合う、合わないが分かれる部分です。これも慣れれば問題はないと思いますが、使い始めた初期には違和感しか感じないと思います。
特に違和感があるのが音による前後判断です。例えば、車道を右手に歩道を歩いていると右側から車の音が聞こえることがありますが、このイヤホンをしているとどっちの車線からの車の音なのか判断がつきにくいです。人間ですので目で見りゃいいわけですが、正直脳が軽くバグります。
アクティブノイズコントロールなのになぜこんなことが起きるのかというと、これはマイクの位置が大きく関係しています。細かい理屈は省きますが、本来人間が音を収音するポイントと、ノイキャン用のマイクの位置が違う場合には周波数のひずみ具合に大きな差が出るためにこのような現象が起きます。
ノイズキャンセル用のマイクの位置が耳穴の真上に来るような設計のイヤホンであればこの違和感が軽減するとは思いますが、このイヤホンの場合は変な位置にマイクがあるので基本的にほとんどのユーザーに違和感を与えるような気がします。
おそらく、ノイズキャンセル性能を単純なdBでの比較で行っているのであれば今までのイヤホンの中で一番かもしれませんが、ヒューマンインターフェースとしての設計は非常に甘く、この機能だけでイヤホンを選ぶべきではないなと思いました。
外音取り込み機能
アクティブノイズコントロール(キャンセル)イヤホンならではの機能として、収音マイクを利用したがイオン取り込み機能です。
これに関しては、ほかのイヤホンと比較したわけではないのでこのイヤホンだけのインプレッションになるのですが、これは非常に便利ですね。
コンビニに行くまでの間はノイキャンONにしておいて、会計などのタイミングではアンビエントサウンドモードに切り替えるといった使い方ができるのでわざわざ取り外す必要がないのはストレス軽減に大きく貢献していると思います。
これはパッシブノイズキャンセルでは実現が不可能な機能ですので非常に評価が高い部分です。
どんな人にお勧めのイヤホンか
このイヤホンはどんな人にお勧めかというと、
・金に余裕がある
・音質にそこまでこだわらない
・有線イヤホンの脱着のわずらわしさから解放されたい
・完全に外音を遮断する必要がない
・デザインがかっこいいイヤホンを使いたい
・耳からうどんをはやしたくない
ような人にお勧めです。
完全ワイヤレスイヤホンの魅力とは、やはり脱着時のストレスのなさやスマートホンとの連携の良さだと思います。そもそも、ワイヤレスにしている時点で音質は有線とは比べるまでもなく下がるわけですので、音質以外のポイントでワイヤレスイヤホンは選ぶものだと思っています。
また、パッシブノイキャンとの大きな違いの一つには状況対応能力の高さがあると思います。
遮音性能とトレードオフにこれらの性能を上げることができたのは素直にすごいと思います。
しかし、この辺の機能は他の完全ワイヤレスイヤホンにも同じようにあると思いますので、特別こんな高いイヤホンを買う理由はあまり見当たりません。
まとめ – 迂闊にこのイヤホンを買うな
このイヤホンは見た目はカッコよく、ワイヤレスイヤホンらしい機能を備えたそれなりのイヤホンですが、それが値段に見合っているのかどうかは微妙です。
正直、この程度のノイズキャンセル性能で業界最高を謳うのであれば他社のイヤホンでもいい気がします。ath-cks50twに比べると1万円くらい高いイヤホンですが、ノイキャン性能とコーデックをみてこれを買うとおそらく後悔すると思います。
とりあえず、私はこのイヤホンはメルカリに出して、ath-cks50twを改めて購入しようと思います。
あとは、SHUREのaonic215 TW2のイヤホン無しもついでに購入しようかなーと思っています。
SE215のイヤホン部分を取り外して使えるので簡単にSHUREの無線化ができますからね。
aonicの一世代目は通話する際にモノラルになるという課題点が、2代目では解消されたようですのでそちらも試してみたいですね。
現時点での私のおすすめイヤホン
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